馬鹿を見る

2/3
前へ
/16ページ
次へ
静まった教室。 そりゃそうだよ。 放課後の学校なんだから。 「忘れ物を取りに来た」 なんて言ったら簡単に入れた。 実際、忘れ物なんてないのだが。 これが最後だろう。 いや、最後にする。 ボクは自分の席についた。 高鳴った・・・。 『皆さんさようなら』 ボクは自分の机にマイネームでそう書いてた。 『先生お元気で』 高鳴った胸に涎が垂れる。 席を立った。 黒板の前の教卓の前に立った。 何処かのドラマで見た、熱血教師みたいに黒板をバンと叩いき、大声で言った。 「正直者は何を見る?」 そして、自問自答。 「正直者は馬鹿を見る!」 2人になれないボクはせめて正直者という取り柄だけ作ろうと考えた。 でも、それさえも無理だった。 ーーちくり呼ばわりされた。 正直者だから全て言った。 全て事実なのに。 だけど年齢が上がるにつれて周りの目が怖いくらいに鋭くなった。 「正直者は何を見る?正直者は馬鹿を見る!」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加