武闘大会

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期待に添えなくて悪いが、一番可能性があるのはムチだ。遠慮なく行かせて貰おう。 糸目爺さんに隙なんかは見当たる筈もない。こちらから正々堂々いく訳だが…ただ行ってもさっきみたいに最小限の動きで躱されるだろう。 攻撃の組み立て…か。 今まで反射でやってた分、いざ考えようと思うと難しいな…! 俺の今の武器は格闘と布、ムチ、そしてリングだ。今のところ飛び道具のリングだけはお披露目していない。 意表を突くならリングだろうが、使いどころは慎重に行きたい。最初は糸目爺さんも知っているムチで仕掛けてチャンスを作ろう。 「どうした。ワシからは攻撃せんぞ?」 ムカつくな~!! その余裕綽々の態度、何とか崩してやりたいもんだ。 俺はムチを握りしめ、糸目爺さんに向かって走りながら攻撃を繰り出した。糸目爺さんの体を狙ってムチを振るっても、当然最小限の動きで避けられていく。 少しだけ軌道を変えて、糸目爺さんの足元の床を狙ってみた。 ムチは激しく跳ね返り、糸目爺さんの顎にクリーンヒット! やった! このムチは素材が強力なゴムなだけに、跳ね返った時の軌道が読めないのが利点だな! 少し上体が仰け反った瞬間、ムチをリング状に変え、強いカーブをかけて床を走らせた。 重さも充分に加えたデカいリングは、弧を描いて猛烈なスピードで糸目爺さんの背後からぶち当たる。 「のわっ!??」 後ろから追突された糸目爺さんの体がついに宙に浮いた。 そこを狙って、布の先を幾つか縛って作った簡易フレイルで力いっぱい打つ。俺的にはフルスイングだ。 言っても布だからな。 渾身の力を込めて丁度いいくらいだろう。 …レジェンドだし。 糸目爺さんは、打たれた腹をさすりさすり、俺を睨んだ。 「…痛てて…。今のはちぃと痛かったぞ。少しは年寄りを労わらんか…!」 ええ!? さっき全力で来いって言ったよな!?納得いかねぇ…。 「ふむ…しかし少しは考えたようだな。今のはなかなか面白い攻撃だった。」 糸目爺さんはさらに目を細くした。 …笑ってるのか…?判別できない。 糸目爺さんに当たった後、力なく床に転がっているムチのリングを回収して、ムチの形状に戻していたら、糸目爺さんが「何が当たったかと思えばムチか!」と今度ははっきり笑い出す。 「面白い!褒美にちぃとばかり本気で相手をしてやろう!」 糸目爺さんの闘気が急激に膨れ上がる。 その褒美いらないんだが!!
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