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「まだ隠し球があるか!?」
無くもない。まだ飛び道具の小さいリングは使ってないからな。
「その顔はまだあるな?全部出せ!」
俺そんなに顔に出やすいのか…?
なんだよもう、糸目爺さん寡黙かと見せかけて超喋るなぁ。…予想外だ。
ふっ…と糸目爺さんが消えた。
その瞬間、背後から蹴りを入れられる。
浮いた体に今度は鳩尾へのエルボーが入った。
…めちゃくちゃ痛い!!
なんの変哲もない攻撃がとてつもなく重い。そのまま床に叩きつけられ、上からギリギリと抑え付けられた状態で「全部出せ!!」とさらに脅迫される。
リングは基本飛び道具なんだよ!!
「……くそっ!分かったよもう!出すからどいてくれ。」
「さっさと出せばいいものを。」
…糸目爺さん…。
カツアゲみたいになってるぞ?
ボヤきながら太腿のリングを取り、指先で回して見せる。
「これで全部だ。」
「なんだそりゃ。」
…せっかく見せたのに、拍子抜けの顔するの止めてくれないかな。
「…まぁいい、とりあえずそれでかかって来い。」
疑いの眼差しで見ている糸目爺さん。
フン、飛んで来て驚くなよ?
このリングは円刀にもなるんだからな。…リングは全部で4つ。さて、どう使おうか。
両腕に2つずつ、4つのリングを回しながら糸目爺さんを睨む。
…絶対一泡吹かせてやるからな。
まずは2つ。
腕のリングを時間差で糸目爺さんに向かって投げる。投げる瞬間、円刀にして投げてやった。
攻撃を受けてみるつもりなのか、ピクリともせずにリングが飛んでくるのを見ていた糸目爺さんは、当たる直前で突然奇声を上げる。
「ぬおお!?」
目にも止まらぬ早業で円刀を2つとも叩き落とした。
さすがだな、糸目爺さん!
だが、想定内だ!
続けて円刀第二弾を発射した。
糸目爺さんは「年寄りになんちゅうモン投げるんじゃ!!」と叫びながらそれも手刀で叩き落とす。
この瞬間を待っていた!!
円刀を叩き落とすのに集中した糸目爺さんの、僅かな隙…!
瞬時に走り、糸目爺さんの頸椎目がけて渾身の回し蹴りを放つ。
しかし、俺の足に糸目爺さんを仕留めた感触はなかった。
変わりに訪れたのは、激しい衝撃と熱さ、そして空に浮く感覚。
ああ…カウンターをくらったのか…。
意識が無くなる寸前、糸目爺さんの決まり悪そうな声が聞こえた。
「…やってしもうた…。つい本気で一発入れたが…ああ、息はあるな。」
死んでたまるか!!
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