第二十二項 世界の中心で哀を叫んだ魔物

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シャシャがさっき、なんて呟いたか 声が聞こえなくたって、僕にはわかる。口の動きだけでも なんと言っても、僕とあれだけ居ても死ななかったシャシャなのだ 僕と時間を一番共有しているのは、間違いなくココロアちゃんだけれど 僕〝が〟時間を一番共有していたのは―――、間違いなくシャシャなのだから だから僕は 「・・・・・・、僕は最弱だ。人ひとり救えやしない」 でも ―――世界くらいは救えるだろう。きっと 僕は大鎌をもって、歩く。彼女の背中の両腕は沈黙したままだ。十メートルの距離を歩く間 色々な想い出が、走馬灯のように蘇った 初めて会った時、森の中。竜の肉を喰ったとき。弁当を作ったとき。街で迷子になったとき。お菓子をねだってきたとき。奴隷商に誘拐されたとき。学校ではほとんど寝て過ごしていたな。屋上は静かで、とても居心地のいい場所だったっけ だけど、それももう御終いだ 全部全部、御終いにしよう 僕は十メートルの距離を詰める
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