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今更
十字架が一つや二つ、増えたって、変わらないはずなのに
新しく背負うことになったこの十字架は。僕の足を止めるくらいには、重かった
ココロアちゃんは、いない
邪神の―――、シャシャの、魂を冥府へと届けに行った。今度こそ、理から外れないように、完全に魂を、まっさらな状態までリセットするそうだ
だから、例えば僕が転生したように
シャシャが転生することはありえない
すべてリセットされて、もう、どこにもいなくなる
記憶も想い出も、僕の中にしかなくなるのだ
「・・・・・・、っ」
駄目だ
泣けもしないのに、感傷的になったら
胃の中を直接まさぐられるような気持ち悪さから逃れようと、僕は家の鍵を開ける。今日はもう、眠ったほうがいい
僕が悲しんでいい道理なんてないのだから
扉を開けると、いつもの家だった
僕の家
僕たちの―――、家
でも、今、ここには僕一人しかいない
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