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「・・・・・・、広い」
こんなに、この家は広かったっけ
僕は家の中を歩きながら思う。独り想う
誰かがいないと、こんなに家というのは広くなるのか
欠けている
足りない
こんなにも、広いのに、なにかが足りない気がする
「・・・・・・、・・・・・・」
ここに居たら気が狂いそうになる。僕は自分の部屋へ行くことにした
階段を上がる
ただそれだけの動作なのに、酷く足が重い。嫌になる。このまま転落してしまえばどれだけ楽だろうか
そんなことを考えるけれど、身体は勝手に前に進む
僕がどんなに死にたくても、勝手に生きようとする。明日は勝手に来るし、前には強制的に進まされる
どんなに絶望したって、夜は明けてしまう。明けない夜は無いのだから
部屋に入ると、僕はベッドに倒れ込んだ。その際、ポケットからなにかが落ちて、床にぱさりと広がる
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