出会い

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あの日、世界が終わり 私は大切な物を失った…… 赤い目をした少女は丘の上の木の日陰で本を開く 五年前の厄災 世界の空は割れ 世界の大地は鳴き 世界の命の灯火が消えかかった だがしかし、一人の大魔導師の活躍により世界は破滅の危機を逃れたのだ 「何が活躍だ。ただの犠牲じゃないか」 読みかけの本を閉じ一人俯く 「ねえ?姉さん…私って何もできないのかな?」 少女は空に語り、そのまま後ろに倒れこむ 風が吹き草木が踊る 花は舞空は蒼く澄んでいる 「良い天気だね…姉さん」 少女は空に問いかけ続けた 「おーいリリア」 小柄で義足の少年が息を切らし、丘を駆け上がってくる 「んー?なーにフェイ?」 リリアは仰向けのまま聞き返す フェイは息を切らしながら 「ハァハァ…大変なんだ!」 そう言って丘に倒れ込む 「相変わらず体力ないねー男の子でしょ?」 リリアは起き上がり砂ほこりを払い 「何があったの?」 フェイの顔を見下ろした 「うるせ!お前は魔法使えるだろ!俺は…いや。まぁ…それは置いといて」 フェイは反論をやめ深刻な表情をした 「この村に、得体のしれない奴が居るかもしれない!」 「かもしれないって…」 リリアは呆れ 「あのねーそんな確証無いことで毎度毎度驚かないの!」 そう言ってフェイの腹を蹴りを入れる 「グフっ…いや今回はマジだ…」 腹を抑えながら起き上がる 「隣町の使者と村長が話ししてるのを偶然聞いたんだ…」 「本当に?」リリアは疑いの目を向けた 「嘘ついてもしょうがないだろ?」苦笑いをしながら答えた 「んー?とりあえず村長に話聞きに行きましょ」 「あ、ちょい休憩させて~」 フェイは腰を下ろした 「一人で勝手に休憩してなさい」そう言ってリリアは丘を下りて行った 「あ、待ってリリア!」 フェイは慌てて起き上がり覚束ない足取りでリリアを追った [そうか、あの子があいつの…]木の影で男がリリア達を眺める そして空を見上げ 「やっぱ似てねーな…なあ?アルカ…」 風が吹き草木が踊った image=480147545.jpg
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