― 冒頭 ―

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いつもの朝、いつもの日差し、いつもの部屋。 そして、いつも通り正常に働いている目覚まし時計。 しつこく鳴り響くそれを止め、もう一度布団にもぐりこむ。 いわゆる、二度寝ってやつだ。 起きるためにかけておいたタイマーだ。が、睡魔には勝てない。 物語の中の勇者だって、魔王だって勝てないだろう・・・・・・ ・・・・・・本日五度目のアラームが鳴る。 スヌーズ機能によるものだ。 この時計は五分毎に起こしてくれる、つまり、5×5=25 最初にタイマーがなり始めてからの25分後だ。 ・・・・そろそろ起きるか・・・・ アラームは、ベットから出る予定時刻の1時間前にかけてある。 30分は目を覚ますまでの時間に使い、残りの30分はゲームをするためにとってある。 そのゲームの名前はパズル&モンスターズ、略してパズモンだ。 このゲームにはスタミナという制限が存在し、冒険に出る為にはスタミナが必要と言う訳だ。 故に、スタミナが回復しているときには消費しておきたいのだ。 ・・・・・今日、いつも通りではないことがあるとすれば、それは間違いなくゲームだろう。 ゲームでレベルアップしたのだ。 レベルアップをすると、時間がたたなくても一気にスタミナが全回復する。 つまり、いつもより多くの冒険に出ることが出来る。 こんなチャンスを自分が見逃すわけがなかった。 僕はしっかりとスタミナを全消費した。 そして今、僕は遅刻するか否かの壮絶な戦いを繰り広げている。 「あぁ、遅刻かもな、これは・・・・」 僕は、今走っていた。 今日は木曜日なわけで。 当然学校が存在するのである。 「確か、今日朝会がったはず。まずいな。朝会なんてやらなくてもいいだろ・・・・」 悪態をつきながら、横断歩道を走り抜ける、が。 次の瞬間、視界いっぱいに車が映る。 そこで、僕の意識は途絶えた・・・・・
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