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「テレビも無ぇ、ラジオも無ぇ。
目覚めてこの方見た事無ぇ。
…なんて、下らない冗談言ってる場合じゃねぇよ。
てかせめてドアくらい付けろや!
拉致監禁でさえもうちょっと高待遇だぞコラぁ!!」
思考が停止してから感覚で2時間程で見事に完全復活したオレは、元気に罵詈雑言を周囲に言い放っていた。
あの衝撃から徐々に回復する思考を巡らせながら事態を分析していけば、自分の出身地はもちろん、今までの日常の生活情景や家族構成、自分の名前すら思い出せない。
しかし年齢や生活の知識、勉強するための施設に通っていた『学生』だったこと。
自分が勉強より運動を得意としていたこと等は覚えていて、確かに『記憶の一部を封印』されている事が分かった。
最初に考えた「酸素ヤバいんじゃね?」も、息苦しさは感じないしロウソクの火も変わらない、どころか燃えて短くなる様子すら見られない。
ここがいわゆるファンタジーな世界の空間だという事から「まぁどっかで何とかなってるんじゃね?」と考えれるくらいには精神的余裕もできた。
それらの経過を経ての先ほどのセリフだ。
…妙な電波はラジオ無しでも受信できるらしい。(ノーナイデンパ注意)
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