オ・ン・ナ

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「いや、特には感じなかったぞ」 そう言われたけど…… 多分違う。 夫のものは私の奥で到達点に突き当たることが無かったのでは? ただ行き止まりの空洞を往復するという行為だけと感じているのではないか? そう思えてしまう。 空洞の壁との摩擦で快楽を得る、ただの道具となってしまったのだと…… 何よりも私自身が感じている。 もう私にとって性とは何も生み出すことの無い存在…… 生の可能性を含んだ体液は、放出された瞬間から私の中に留まることなく、虚しくたれ流されるしかないのだ。
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