欲情

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その日はほんちょっと話しただけだった。 子供はいないが、結婚し仕事を持つ身。 そうそう時間も無い。 「また、話してくれるかな……」 つい聞いてしまった。 彼と何かしたい訳でもない。 どうにかなりたいとも思ってもいない。 ただ また声を聞きたいと思ってしまっただけ。 そして、二度目の機会は意外に早く訪れたのである。 その夜は1人きり… そんな日は滅多に無いことだ。 心臓は全力疾走した時のように早鐘を打っていた。 事前にチャットでお互いに都合の良い時刻を決めてある。 ナイトは直ぐに出てくれる筈…、そんなことを考えながら、この前の様に落ち着いたふりをしてスマートフォンの画面をタップした。
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