欲情

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二度目の電話の時に私はベッドの中にいた。 定期的に通院しているクリニックから出されている軽い安定剤を予め服用しておいた。 緊張しないように自然に振る舞えるように。 本当はそういった目的で処方されている訳ではないのだけれど。 一回りも年の離れた相手に焦っているなんて思われたらとんでもない、そんなつまらない理由。 チャットの時とさして変わりない会話を続けた、というか続けようとした。 サイトの中では散々ふざけ合っていた二人だけれど、実際の通話で耳にするナイトの声は現実に大人の男だと物語っていて…… それを認めたくないのか、受け入れたくないのか分からなかった。 ただ、私はサイトの板での延長のような関係のままでいようと必死になっていたのかもしれない。 「俺、祥子さんなら抱ける自信あるよ」 「その自信ってのは何よ」 そんな軽いジョークさえ文字から肉声になっただけで狼狽えてしまう。
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