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「効力が出ない?」
「はい。私も、幸運のマスコットだけを持ってみたのですが、成果がですに諦めていました。ところが、参考に不運の効力を調べようと一緒に持ってみたら・・・」
「幸運になれたの?」
「いえ・・・。マスコットを二つ持ったことで、効力は発揮されましたが力が均等なので普段は効力はありません。しかし、幸運と不運というのは不安定なものでして、時間の経過に伴って不規則に変化することが分かったのです。どうにか、改良をと試みましたが結局ダメで諦めました」
「つまり、両方揃っていないといけない代物なのね。そういう事情なら仕方ないわ。そのマスコット、両方買うわ」
「ありがとうございます」
商人からマスコットを買った理恵。彼の話は怪しさもあったが、どことなく真実味があるような気がしてならなかった。それに、マスコットもどことなく、何かしらの力を秘めている、そんあ気がしてならなかった。
翌日、理恵はマスコットが本物であることを確信した。早朝に寝坊して学校に出掛けたが、その途中で憧れだった先輩と一緒に登校することができた。どういう訳か、先輩の方も寝坊をしてしまったらしい。
二人揃って遅れて、学校についたことで、周りから囃し立てられたり先生に叱られたりしたが、これをキッカケに理恵は先輩と親密になることができた。
(これは・・・)
商人が言っていた通りだ。幸運も不幸も両方が一日の内に起こった。間違いなく、このマスコットは本物である。
理恵はすぐに、友達に自分の体験談を話して聞かせた。友達の方は初め、信じられないといった様子だった。
「それ本当なの?」
「本当よ!本当にこのマスコット、効果があるんだから」
「でも、偶然じゃないの?」
「偶然じゃないわよ。嘘だと思うなら、使ってみて」
理恵は自分の体験したことを友達にも知ってもらいたく、マスコットを貸した。その友達も、借りた翌日には目を輝かせて、理恵のところに駆けつけて、
「り、理恵!こ、このマスコット。どこで、買ったの!」
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