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「…んあ、ここは…」
汀が目を覚ますと、そこは見覚えがある、保健室だった
「ん、起きたか…篠崎君…で、よかったのか?」
保健室の非常勤講師、菊沢が学校であるのに堂々とタバコを吸ってくつろいでいた
「あっはい…えっと先生…俺は…」
「なんだっけ…えーっとな…あぁ、如月さんがここまで運んでくれて、んで帰ったぞ。一応連絡してやれ。なんかな、如月さんのカバンがお前に当たってな、打ち所が悪くて気絶したらしい」
「あっ、すいませ…って、いてて」
「ん?どした…少し、腹めくるぞ」
「ちょ、先生!?自分でめくれます!!」
「ふむふむ……金具が当たってたな…アザが出来てる」
「うわ、まじすか…」
「しばらくしたら治るぞ。つーか、何したんだ?あの子に」
「いや…な…なんでも」
「なんでも無い、その理由が腹立つ。何のために俺がお前を看病してると思ってんだよ」
「う…そ…それは…」
「とっとと話せ。安心しろ、都合の悪い事は報告しねーよ」
「あ…うん…実はですね…あいつに…無理やりキスしようとしたら殴られて…」
「これは警察沙汰だな。連絡する」
「ちょっとぉぉぉぉぉぉ!?違いますよ!?あいつ、彼女ですからね!?」
「彼女でも、ある一定の線は守れ。特にキスとかハグとか。いきなりしたら相手も不快に思う。TPOわきまえろ」
「そ、そんな!?あいつは俺の彼女ですよ!?そんなの別に…」
「キスする事だけがお互いの愛を確かめる方法だと思ってるよーじゃ、恋はうまくいかねーよ…恋ってのは、お互いがお互いを信じ合えればできるんだよ…だからいきなりキスとかはやめろ。いいな?」
菊沢はそう言うと席を立ち
「なら、帰れ。歩けないなら送ってやるよ」
「あっ、いえ…歩けますし…自転車あるので」
「そか。鍵は閉めなくていい。どーせ見回りくるし」
そう言って菊沢は保健室から出て行った
「…何がキス勝手にするなだよ…」
汀は帰り道、自転車をこぎながら、菊沢に言われた事を思い出した
「別に…キスだけが全てだなんて思ってねーよ!!分かってるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そう言って汀は帰路を爆走した
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