0人が本棚に入れています
本棚に追加
「おぃ、宇美。起きろ」
朝7時、とある一室の寝室は五月とはいえ少しまだ肌寒い空気に包まれていた
「ん…あぁ、勇太…おはよ」
彼女の名前は兎崎宇美。そして彼の名前は菊沢勇太
どちらも社会人だ
「早くしろよ。今日、仕事だろ?」
「ん…うん。朝ごはん作らないと…」
2人は同棲している訳ではなく、部屋を共同で使っている
2人は幼馴染でもあり、そしてカップルでもない
「いいよ。もう作った」
勇太は眠そうな顔で答えた。目にはくっきりとクマができていた
「…夜勤、長引いたんだね…わざわざありがと。」
「ん。なら、寝る。お休み」
勇太は自室に入りドアを閉めた。
直ぐに眠りについたのか、微かだが寝息が聞こえた
「…もう朝か…」
布団から出て、部屋の隅にある仏壇の前に座り、手を合わせた
「おはよ、瑠夏」
そこには若い、笑顔で写ってる男性の写真が飾られていた
彼の名前は菊沢流維。
勇太の双子の兄でもあり、宇美の婚約する予定だった人だ
「瑠夏…瑠夏…うぁ…何で死んだんだのよ…うぅ…」
そう悲しんだ宇美はしばらくうずくまりそしてノロノロと立ち上がった
そのまま泣きながら洗面所に向かい、顔を洗い身支度をした
すでに目元は赤くなり、髪がボサボサだったが気にする様子も無く洗面を終えて、リビングに戻り勇太が用意した朝ご飯を食べた
最初のコメントを投稿しよう!