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「宇美…俺、出て行くからな」
勇太が出て行こうとすると
「待って…勇太…私も…行く」
「行くって…どこに?」
「勇太の所…私…ここに居たら…だめ…耐えきれない…」
「…着いてきてどうするつもりだ」
「分からない……生きて…そこから決める…だから…私を…連れてって…」
「瑠夏…瑠夏…」
勇太が夜勤で出て行くと宇美はまた瑠夏の事を思い、泣いた。毎晩同じように、泣いた
「…おはよ、勇太」
「あぁ、起きてたのか…おはよ。宇美」
勇太が宇美を起こそうとするとすでに宇美が起きており、勇太はそのまま自室に入ろうとしたが、宇美は勇太につぶやく様に言った
「ねぇ…勇太…瑠夏を忘れろって言ってるけど…無理だからね」
「…いきなりなんだ…そんな事か」
「瑠夏は私の心にずっと残り続ける…ずっと…ずっと」
「…ならなんでお前はここに逃げてきたんだ」
「…それは…それは…それは…」
「…逃げて来たなら、兄さんの事ぐらい…すぐに忘れろ」
「勇太!!あんた、瑠夏の事を忘れろって言うの!?」
「んな事は言ってない!!兄さんへの恋愛感情を忘れろって言ってんだよ!!」
「んなの無理よ!!今もまだ愛してるんだから!!」
「お前…何で俺がお前をここに置いてるか知ってるか?」
「…何でよ…」
「お前に何も感情を抱かなかったら…お前を置いたりしない。俺は置いて行った」
「…同情なんて要らないわよ」
「同情じゃねぇよ!!確かに同情は少しはしてる…けど…俺だって…俺だって…お前の事が…好きな気持ち…あるんだよ!」
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