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「疲れた…」
午後5時ちょっと前、キドは自室の机に突っ伏していた。あれからずっと考えているのに、カノ達から贈られたカーネーションの意味がわからない。今日一日そればっかり考えていて、何だかぐったりだ。
なんだって俺がこんなに疲れなきゃいけないんだ?
そう思ったときに、カノのあの掴み所のない笑顔がパッと脳裏に映った。
『はいコレ!』
「……~っ?!」
光景がフラッシュバックする。真っ赤なカーネーションを差し出し、笑う今朝のカノ。思い出した途端、唐突に顔がかっとなった。同時にむず痒いような、恥ずかしいような、なのに嬉しいような感覚に陥る。慣れない感覚に、キドの脳内はパニックになった。
なんでアイツのことを思い出しただけで、こんな変になるんだ?!わからない苛立ちに咄嗟に手近にあったクッション(マリーのお手製じゃない)を引っ掴み、ドアの方に向けて思いっきり投げつけた。
「っ馬鹿カノ!!」
「団長、入るzおわっ?!」
「あ、すまん…」
綺麗な弧を描いて飛んでったクッションは、ノックと共に入ってきたシンタローの頭にクリーンヒットした。
「後でちょっと話があるんだけど…」
「あぁ、わ、わかった…」
今度は何色だ?とちょっとだけ身構えてみたが、シンタローは用件だけを言うと、さっさと出て行った。
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