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(まったく、どいつもこいつも。いったい何なんだ…?)
モヤモヤした気持ちのまま、キドが自室を出てリビングへと向かったのは6時を過ぎてからだった。照明は点いていないらしく、ドアのはめ殺しの窓から暗い部屋が見える。入っていっても真っ暗だ。
(誰も、いないのか…?)
辺りを見回した、その時。
パパパーーンッ!!
「?!」
「「「「「「「(団長/キド)いつもありがとう!!」」」」」」」
突然照明が点き、何発ものクラッカーと団員たちの声がリビングに響いた。任務でいないカノ以外、全員いる。
何が起こったのかわからず、呆然としているキドにセトが言った。
「キド。今日が何の日かわかるッスか?」
「あ、いや…わからない」
「母の日ッスよ」
母の日?そう言えばそんな日があったか。と、いうかそもそも。
「俺はお前らみたいな子どもを産んだ覚えはないぞ」
「そ、そうじゃなくて!キドは、ホントのお母さんみたいに私達の面倒見てくれてるでしょう?だからみんなで、キドにありがとうって伝えたかったの!!」
ね!とにこにこ笑顔のマリーが言うと、他の団員達は頷いたり笑ったり、その目はどれも優しい目だ。
「キドの作ってくれるご飯のおかげで、俺は元気にバイト出来るんスよ?」
「団長さんがお掃除してくれるからアジトもピッカピカです!」
「僕のトリケラくんも直してくれたし、はい」
「ま、感謝をいわないのは失礼だからね。僕からも」
「ほらご主人っ、なにしてんですかぁ!ちゃっちゃと渡しちゃって下さい!!」
「わかってるって!あー…その、いつもありがとな」
コノハからは黄色の、ヒビヤからは紫の、シンタローとエネからは深紅と青のカーネーションが手渡された。
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