適任者

11/52
前へ
/52ページ
次へ
自信がまるでなかったにもかかわらず、そう思い立ったときの湧き上がる喜びは、自分でも驚くほどのものだった。 あれこれ、いろいろな思惑が浮かんでは消えたのを覚えている。 もし、思い通りに使いこなせるのなら。 あんなことやこんなことが、できるのではないか、と。 ただその時は、最終目標のことまでは頭がまわらなかった。 その時には、思いもよらなかったからである。        ・ 最後のジャンプが完成するまでに、それほど時間はかからなかった。 慣れと心の強い渇望が後押ししたのだ。 これで完全に、あれ、をコントロールすることが出来る。 あとは探すだけだ。        ・ 適当なところに車を停め、適当に歩く。 適当とはいっても、守らなければならないルールが一つある。 それは人目につかないことだ。 それだけは絶対に守らないと、それこそ死活問題になってしまうからだ。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加