適任者

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気がつくと、部屋にいた。 「私」の体は静かにベッドに横たわっている。 ベッドと言うより、万年床と言ったほうがいい代物ではあるが。 まだ頭がはっきりとしない。 身体も思うように動かない。戻ってすぐは、いつもこうだ。 このまま進めば、いつかはそうでなくなる日がくるのだろうか。 わからない。 ――そのうち動くようになるさ。 動くようになった。 まだあちこち、特に指先など身体の先端部分に多少の違和感があるが、これもそのうちに治る。 ゆっくりと身体を起こす。 目に写るものは、いつもの見慣れた風景。 見飽きた風景と言ったほうがいいだろう。 築何年になるかもわからない、古びた木造アパート。
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