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今までも何回かジャンプを経験した。
その度に、「私」の身体がけいれんでもしたかのように、激しく震える。
心の喜びもあるだろうが、身体が、身体全体の細胞が、ジャンプに成功したことを知ったために起こる現象だと思える。
やはり連動しているのだ。
密な関係にあるのだろう。
意図的に切り離すことは、身体にとっても重要なことなのだ。
――あと一回か。
そう、おそらく、あと一回ジャンプすることができれば、長かった日々のトレーニングは、そこでようやく終わる。
・
「私」は、あれ、を最初に体験した時のことを、今でもよく覚えている。
忘れもしない十歳の時だ。
学校から帰り、居間でテレビを見ていた。
奥の台所では、母が晩御飯の支度をしていた。
とんとんと、リズムカルな包丁の音が私の耳に届いていたと、記憶している。
その音を聴いているうちに、いつのまにかうとうとしはじめたのだが、ふと気がつくと、私のすぐそばに母が立っていたのだ。
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