適任者

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――えっ? 我に返ったとき、「私」は居間のソファーに座って、ぼうとテレビをながめていた。 台所からは、あいかわらずとんとんと包丁の音が、響いてくる。 ふと、思った。 何を切っているのだろう?  いやそんなことより、たった今、いったい何があったのだろうか? 考えたけど、わからなかった。 その時私は、あれ、は、夢でも見たのだろう、と思うことにした。        ・ それ以降、何回も、あれ、が起こった。 その度に強引に、夢のせいや気のせいにしてきたのだが、それも限界が近づいてきた頃に、再び、あれ、がはじまった。 大学一年生の時だ。 「私」はその時なぜか、あれ、をコントロールしてみようと考えた。
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