2/9
前へ
/44ページ
次へ
 私、綾川エイミーはとあるビルの一角の事務所のドアのチャイムを押した。  するとすぐドアが開いて中から顔を出したのは、トレードマークの帽子を被り、丸型の小さな眼鏡をかけた男性…エルモ社長だ。 「こんにちわ」 「あぁ、エイミーさん。いらっしゃい。クレアちゃん、エイミーさん来ましたよ!」  社長が事務所の中にいるクレアちゃんに声をかける。 「はあ~い!ちょっと待ってて?」  奥の方で声が聞こえるだけで、姿は見えない。  社長に促されて、私は事務所の中へと入った。  クレア・チェンちゃん。  銀河を駆ける歌姫で、私がこちらに来てから仲良くさせてもらっている。  ブラッド小隊のキリナ隊長の義妹で、隊長は大のシスコン。 「ごめんね、お待たせ!」  クレアちゃんの宣伝用のポスターを眺めていた私が振り返ると、そこにはクレアちゃんが立っていた。 「撮影長引いちゃって、バタバタしちゃった」  クレアちゃんが顔の前で両手を合わせてごめんね、という感じで言った。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加