プロローグ

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寒い冬もようやく過ぎ、私の好きな春が訪れた。 春は、たくさんの生命が誕生する。 蝶や蜂たちは、花の密を吸い、親鳥は巣を作って、ひなを育てている。 冬にはどんよりしていた空も、息を吹き返したみたいに澄みきっている。 まるで、ビー玉を太陽に透かして見ているかのように……。 そんな季節で、私が好きなのは、道端にひっそりと咲いている′′ たんぽぽ ′′だ。 たんぽぽは、あんなにちっぽけに咲いているのに、人間に踏まれても何度だって土に根をのばす。 そして、次の世代を残す為に綿毛を作って風に乗せて飛ばすのだ。 その生命力のすごさは、人間よりも優れていると思う。
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