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また後ろの時計がタイムリミットが近づいてきてることを知らせてくれた少し後、急に葉瑠先輩が「彩菜ちゃん、喉乾いたからジュース買ってきてくれるかな」と言い出した。普段は後輩にそんなこと言わない人だったので少し困惑しながらも、「この手帳もくれましたし……」 と貴重な時間を割いて彩菜は近くの自販機までシュワッと爽快シソソーダを買いに行った。いつも葉瑠先輩が美味しそうにシソソーダを飲んでるのを見て彩菜もチャレンジしたことがあるのだが、三口目でギブアップしたしろものだ。
部室に戻る途中で登校してきた野球部の連中と立ち話をしてしまい、急ぎ足で帰ってきた彩菜を待っていたのは葉瑠先輩じゃなくて「ごめんね」の書き置きだけだった。
少し悲しくなった彩菜だったが、シソソーダのやはり相容れない味と大量の宿題に引き戻され、席についてとりあえずペンを持った。
嫌いな時間はなかなか過ぎないもので、だが時間に追われるあたしには好都合だなっ。と頭のなかでくるくると回り続ける、いきなり帰ってしまった葉瑠先輩や今頃海で宿題を放流してるに違いない友や先輩のことを無理矢理追い出して、彩菜は1問目に視線を落とした……
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