3人が本棚に入れています
本棚に追加
「転校生の七海さんだ」
野太く低い声が私の名前を呼んだことで、ハッと我に返る。
隣に立っていた先生が、勢い良く私の名前を黒板に書き出した。
カッ、カッ、と小気味よいチョークの音が私の名前を白で描く。
「七海」と書いて「ナナミ」と読む。
私、自分の名前が好き。
だから、パパとママが離婚した時も、迷わず「七海」を選んだ。
度重なるママの浮気が原因でもあるけど、私はパパについて行くことにした。
だって、私は一人だけの「七海」なんだから。
ずっと、ナナミで生きてきたんだから…。
私は「七海」でいなければならない。
そう強く思ったから、私はママを突き放した。
最初のコメントを投稿しよう!