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「この喜三太が、殿の代わりになりましょう。背格好は殿と変わりません。屋敷を燃やせば気付かれることもないでしょう。」
「何を言うのだ。私は誰も失いたくないのだ。」
「そんな優しい殿だからこそ、喜三太は命をかけてお守りしたいのです。」
「早く、行きましょう。」
忠衡が言います。
「行くならば皆でだ。喜三太もだ。」
「殿、我らはここで敵を迎え討ちます。殿は萌殿とお行きください。」
「弁慶まで何を言うのだ。」
弁慶も他の郎党も、義経が逃げたことを気付かれないように、最後まで戦うつもりなのです。
「私もここに残ります。私は足手まといになります。泰衡様、忠衡様のお気持ち、無駄になさらぬよう。」
「萌まで何を言うのだ。」
「生まれ変わっても、殿の郎党にしてください。」
と弁慶が言えば
「私も、来世でも義経様の妻になりとうございます。」
と萌姫も言いました。
萌姫は義経の正妻として、命をかけて九郎義経を守ろうと決めたのでした。
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