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俺の名前はモルリオンと言う。今は寝っ転がって天井を見ている。水漏れのする、土壁の粗末な牢屋だ。黴臭い。   俺が何故牢に入っていて無気力に寝ているのかは察して欲しい。瑣末な事情だ。   「おい、最後の晩餐だ。味わって食えよ」   牢番の兵士が蝿がたかる食事を持ってきた。蝿も大変だな、干からびたような野菜屑のスープにさして栄養があるとは思えんが。   「残念だったな、まあ、せめて良く寝な」   牢番は何か思うところがあるのか俺に声を掛けてから立ち去っていった。残念ながら寝てばかりで最早眠気も来ないが、それは奴には関係ないことだ。   「……こんなものかよ。人生てなぁ」   呟いて、眠くもないが目を閉じて、思考を停める事だけに集中した。どうせ明日には死ぬのだから何を思おうと虚しいだけだ。   意識を自分の奥底へ集中させ、潜り、潜り、潜った。早く殺してくれ。何一つ有意義な人生ではなかった。
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