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「で、お式はいつにするの?」
「まだそこまでは。今日プロポーズされて取りあえずお返事しただけ」
「でも結納はするんでしょう?」
「うん。でも結婚は3年は待ってくれるって。そのかわり婚約はきちんと済ませたいみたい。結納金も婚約指輪も用意するって」
「本当に未映子が好きなのね、中田さん。未映子も良かったわ、見初められて結婚するのが幸せよ」
「お母さんがそうだったから?」
父がワインをグラスに注ぐのを横目に母は冷蔵庫からブルーチーズを取り出す。
「そうね。私より年代物のワインが好きなのは腑に落ちないけど」
「おいおい。母さんだってブルーチーズには目がないだろう」
3人で乾杯する。中田さんもこちらのご出身だから式場は大宮がいいわね、会社の方には大宮までご足労いただいて、と母が言う。なら式場を決めてそこで結納したらどうだ、と父が言う。一家団欒、こんなものだろうと思う。一人娘の結婚、父も母も嬉しそうだ。私はそんな空気の中で高崎に行くことを考えていた。ゴールデンウィーク後半の、高崎で開かれる各務の個展。
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