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 あの語り掛けてくる向日葵……。でもアトリエで、あの洋館で何かが私を待ってるような気もするのだ。私の躊躇してる様子に気付いた先輩は助け船を出した。 「じゃあ久保田さんに交渉してくるよ。取りあえず手付け金は支払う。でもアトリエの違う絵が欲しくなった場合は違約金としてそのお金は受け取ってもらって、新たに絵を買い付けるって」 「でも」 「もうここまで来たら俺だって納得のいく買い物がしたいからね。河合の一番気に入った絵を買う。それでいいね?」 「はい。ありがとうございます」  先輩は缶コーヒーを飲み干して立ち上がる。そしてイベントホールの中へと消えていった。  私はどうしたいのだ……。叔父である各務に何を求めるのか。絵、それとも母との和解、叔父と姪としての関係を構築したいのか。アトリエで何かが待ってるなんて、何を期待しているのか。  先輩はすぐに戻ってきた。そして交渉は成立したこと、伺う日はまた改めて連絡すること、そんなことを満面の笑みで話した。イベントホールを後にする。時間はまだ12時、先輩はどうせなら観光をして帰ろうと私に提案した。群馬にはいい温泉がある、伊香保なら近いから寄ってみないかと誘われた。
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