呪いの伝染。

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振り返る前に、顔をがっしりと掴まれた、腐敗したきつい臭いに胃の中がかき混ぜられたように熱くなった。 「ジダー、ジダー」 それは、その人は半分、頭が潰れて、舌の無い口内をばっくりと開き、全身は汚れ、ところどころ白骨化したのか、肉が削ぎ落とされ骨が見えていた。 五年前、誰かわからないように顔を潰したのだ。つまり、この人は私の元恋人、虎塚[トラズカ]、舌の好きな凶人、五年前に死んだ人間。 そのまま、虎塚は墓石に私の頭を叩きつけた。視界が揺らぎ、火花が散るようにチカチカとして、ドロリと後頭部から血が流れて、口が強引に開かれる。 「んーーんーー!!」 指先が、腐った指先が口内を侵食していき、舌が掴まれる。 「んーー!! んーー!! んーー!! んーー!! んーー!!」 やめてといいたい。やめてください。言えない。声が出ない。 「じだをぼらう」 グチャッ、片手で目と頭を押さえつけられ墓石に押さえつけられた。嫌な音がして舌が引き抜かれた、ちぎられた。わからないけれど、虎塚はの舌を 食べるとふっと霧のように消えた。 「いだい、いだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいーーーーーー!!!!」 声にならない声が出た。とめどなく血が流れていく。舌を噛んで自殺する人がいるらしいけれど、こんなに苦しいことなのか。 「苦しい喜々津お姉ちゃん?」 女の子はニコニコ笑う。 「復讐したくない? 大川[オオカワ]お兄ちゃんに同じ苦しみを味併せてあげようよ、ねぇ、喜々津お姉ちゃん」 「うん」 大川のせいで、こうなったんだ。大川のせいで、殺してやる。私はふらりと立ち上がり。 「契約だね、喜々津お姉ちゃん、ジュジュと契約、大川を呪う、お姉ちゃんの命を代償に」
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