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ガツンと、鉄の塊が頭に叩きつけられた。片足をついて、振り返る前に続けて振り下ろされる。ガツンとガツンと幾度も幾度も、たまらず前に転がり振り返る
「…………」
口からダラダラと血を流し、虚ろな瞳で血まみれのスコップを握りしめた、喜々津がいた。
「テメー、今更になって復讐のつもりかよ、あんなん事故だろーが、あのクソヤロウのことなんざ、忘れちまえと言っただろうが」
前髪に垂れる血を拭う。喜々津は答えない。ただ、スコップを振り上げるだけだ。
「チッ!!」
「動いちゃだめなの、大川お兄ちゃん」
クソガキが、日本人形を投げつけてきた。そちらに気を取られた隙に喜々津がスコップの切っ先を足にまっすぐ振り下ろす。
「ぐぁああ!!!!」
喜々津が馬乗りになり、無言のまま拳を振り下ろしてくる。拳が振ってくる。髪を掴まれ地面に叩きつけられる。幾度も、幾度も、叩きつけ、喜々津は霧のように消えた。
頭が陥没したのかどうかもわからない。視界が真っ暗で何も見えない。
「大川お兄ちゃん、痛い? 痛いよね、大川お兄ちゃん。何も知らないくせに上から目線でいろいろ命令してくる六中[ムナカ]お兄ちゃんも同じ思いさせたくない?」
「そ………だな」
そもそも、六中のせいで休みを台無しにされた。絞め殺してやりたい。何も知らないくせに偉そうなあいつを絞め殺してやりたい。
「契約だね、大川お兄ちゃん。ジュジュと契約。六中お兄ちゃんを呪う。大川お兄ちゃんの代償に」
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