呪いの伝染。

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ビルの最上階の窓から下界の景色を眺めていた、約束された地位。認められた能力、他人よりも上な人間は下界を見下ろす権利があり、地位が低く能力のない人間は上を見上げて能力のある人間の栄養になるしかないのだ。 これを一本の木だとしよう。能力のある人間は当然のように葉を茂らせ、酸素ならぬ能力のを吐き出し、この世界に充満させ。能力のない人間は栄養として根として日の光を浴びることなく死んでいく。そうして世界は循環されていくのだ 僕は、六中[ロクナカ]選ばれた人間。そう、いつだって選択を間違わない。目立たず、騒がず、怒らない。悪目立ちをしないけれど、ひたむきな下準備と努力を怠らない。五年前、喜々津、虎塚、大川の間柄のことも知らないふりをした、そう選択を……。 「このこの、ななつのお祝いにー、おふだをおさめにまいります、いきはよいよい、帰りはこわいー、こわいながらもとおりゃんせ、とおりゃんせー」 女の子が部屋にいた、白いワンピース。サンダル、麦藁帽子をかぶった女の子。僕、以外に入れるはずもない部屋に歌、とおりゃんせを歌いながら。紐を首に巻いた日本人形をふらふらと揺らしていた。 「六中お兄ちゃんだよね、スーツ似合ってるー、お仕事のできる男って感じ?」 「お前、どこから入った警備はどうしてる」 そんなことは、どうでもいい。すぐにこいつを追い出さないといけない。 「……は、六中お兄ちゃんにお話するの」
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