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「あるところにね、仲良しこよしの五人がいたの、男の子が三人、女の子が二人の五人がいたんだけど」
女の子は、人差し指を立てて。
「一人だけ皆を見下していた男の子がいたの、自分が一番じゃないと気が済まない男の子がね」
ちょいちょいと人差し指を動かして、まっすぐ、僕を指差しながら。
「でも、一番、みーんなと仲良くしていたかったの、ひとりぼっちになるのがこわいから、男の子は自分を認めてくれる人がいなくたってしまうのが怖かった」
小さな手を、パーッと開き。五本の指をまるで仲良しこよしの五人に見立てるようにニコニコと笑う。
「けれど、男の子と女の子が恋人になって、もう一人の男の子が嫉妬していることを知ってもなにもしなかったんじゃない、なにもできなかったの」
開いていた、五本の指の内、小指を曲げてもう片方の手の人差し指でぽーいと遠くに飛ばし。
「仲間外れが嫌だった、仲間外れにされてしまうのが怖かった、だから、何も知らないふりをしたのね、みんなでギュッとひっついていたかったの」
グッと握り拳を作ってニコニコと笑う、僕は見透かされた気分になっても毅然とした態度を崩さなかった。
「何で知らないふりをしたのかと言うと、男の子は他人を見下すことはできでも、他人の気持ちがわからなかった」
日本人形の首に回した紐をギューッと引き絞り。
「その男の子は、六中お兄ちゃんなの」
「………」
僕は何も答えられない
「だからね、だから、見下されてた大川お兄ちゃんが絞め殺したいんだって、ほら後ろ」
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