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冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出して、渇いたのどへ流しこんだ 同僚でありセフレであるコータは、あたしの大切な、おにーちゃん あたしのパパとコータのお母さんが再婚した パパに「結婚する」と言われ紹介されたお母さんとその息子のコータ 当時すでに同僚でセフレだったあたしたちは、お互いに目配せして苦笑いするしかなくて 「同僚だ」とコータの一言にパパもお母さんも「世間は狭いなぁ」と笑って その日からあたしとコータは兄妹になった 「ミナミ」 呼ばれて振り返ると、下着だけを身に付けたコータがタオルでガシガシと濡れた髪の毛を拭きながら 「水」 それだけ言うとあたしの手からペットボトルを取った 「実家、帰る?」 あたしの問いかけにコータは頷く コータの実家、イコールあたしの実家 コータはあたしと一緒に住んでる訳じゃない ただ入り浸っているだけ だからこうしてうちに泊まった時でも、朝から実家へ戻る ここから会社までは歩いて行ける距離 それなのにコータは車で30分近くかけて実家へ帰る その理由をあたしは知らない
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