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「紗菜!!」
玲央はロープを切り裂くべく、ナイフを手に取った。
だが、頑丈なロープはすぐには切断することが出来ず、そうこうしている間にも、荒波は三人を呑み込もうと更なる大口を開ける。
「だ、だめ、もう………!」
「紗菜、ぐぁっ!」
紗菜は力尽き、海にゆっくりと落ちていく。
終は死角から突如現れた岩礁に頭を勢いよく打ち付けてしまった。
打ち所が悪かったのか、すぐに海に赤い色素が染みだしていく。
「紗菜! 終────っ!!」
玲央は呑まれてゆくふたりの姿が落ちていくさまを、ただ見ていることしかできなかった。
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