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容赦なく照り付ける熱線。
青一色のパレットで塗り潰された澄んだ、昼下がりのサマースカイ。
くっきりと地平線を彩るアクアマリンは、陸めがけて大きな腕を何度も何度も打ち振るいながら、寄せては返し、寄せては返しをひっきりなしに繰り返す。
「うわあ、海だ~!」
水着姿の少女は感嘆の声を漏らし、勢いよくビーチサンダルを脱ぎ捨てた。
俗にいうスクール水着をぴったりと素肌に食い込ませ、悲しいかな、ぺたんこの胸と同じラインの腰まわりにはひまわり柄の浮き袋が見える。
少女は熱砂の中に足を滑らせ、熱さに耐えきれずに四肢をばたばたさせながら、波打ち際までの距離を勢いよく駆けていく。
途中、ぺぎゃ、と呻き声を漏らしながら砂浜に突っ伏したが、めげずに立ち上がり、再度走り出した。
「元気だなー、あいつ」
少女が駆けていく様を遠目で眺めながら、水着姿の青年は感心した。
短めの黒髪に、日焼けした肌。
黒地に白の英字が書かれた水着。
素潜り用のゴーグルから覗かせた素顔は、残念ながら可もなく不可もなくといったところ。
「あははは、玲央(れお)ってば。美海(みう)が元気じゃなかったら美海じゃないよ! それこそ一大事でしょ」
玲央の後ろからぞろぞろと人が集まってくる。
その内の一人、紗菜(さな)が声を掛けてきた。
「確かに。それにしても紗菜、その水着、露出高くねーか?」
長い黒髪を頭頂部でしっかりとまとめあげ、露わになるうなじが色っぽい。
鎖骨は滑らかなラインで描かれ、女性の象徴である二つの豊満な膨らみは、胸元の一番敏感な部分を中心に薄紅色の薄布がかろうじて巻き付いてあるだけという、頼りなさ。
胸元と揃いの生地で仕立てられた薄紅色のビキニ。細い脚からは、汗が一滴流れていく。
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