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耳が無くなってから何ヶ月か過ぎた頃
胡桃以外の人が、初めて家に来た
それは
「胡桃…何でこんな所に呼んだの?」
「…ついて来て」
玄関で女の声が聞こえた…誰だろ
「何よ、いきなり…私だっていそ…きゃぁぁぁぁぁぁ!?総舵君!?総舵君どうしたの!?」
前の彼女の実咲(みさき)だった
実咲は鎖に繋がれた俺を見て、悲鳴をあげた
「ふふふ…総舵君…この女よね?前付き合ってたの…それにこの女…今でも総舵君の事を色々と嗅ぎつけてるんだよねぇ…」
「く!胡桃!!あんた、総舵君に何したの!?」
「総舵君と私の愛の印よ…くふふふ…はははは!!」
「どこがよ!あんた、狂ってる!」
「狂ってないわ…これは総舵君も認めてるもの…ふふふ…ははははは!!実咲さん…あんたは邪魔者なのよ!」
そう言って胡桃はカバンに隠してた包丁を取り出して、それを頭上に掲げて、実咲に振りかざした
「きゃっ!!?」
実咲は寸の所でかわし、床に転がった
「おい!胡桃!辞めろ!」
俺は必死に叫んだが
「ははは…総舵君と私の邪魔する奴は許さない…邪魔する奴はみんなみんなみんなみんな消えてしまえ!」
まるで俺の声は聞こない
そして胡桃は包丁をまた振るった
「や!やめて!!こないでぇぇ!!」
実咲は胡桃が降った後の包丁の柄を握り、胡桃の切っ先を防ぐように下に力を込めた
包丁の動きは止まり、お互い硬直した姿勢になった
「離して!」
胡桃も抵抗するが、身長が大きい実咲には力及ばない
そして実咲は胡桃を蹴り、胡桃は呆気なく吹っ飛ばされた
「あぅ!!」
胡桃は吹っ飛ばされ、壁に激突して、そのまま動かなくなった
「胡桃!胡桃!」
どうやら気を失ったらしく、時々ピクッと動いた
「はぁ…はぁ…はぁ…」
実咲は息を整え、俺に近づいた
「ごめんね…ごめんね…ごめんね総舵君…気が付かなくてごめんね…」
「違う…実咲…俺は…俺は」
「…ごめんね…ごめんね…」
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