第五話【サンタが店にやってきた!】

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 それは、今からもう十年以上も前、  私が街の食堂で働いていた時の話です。  12月25日、吐く息が霧のように白くなる、寒い寒い朝でした。  お店を開けるとすぐに、サンタのおじさんがトナカイさんをひきつれて、やってきたのです。  ちょっと疲れた顔のサンタさんとトナカイさん、  夜通し子供達にプレゼントを配って回り、お腹が空いていたのでしょう。  サンタさんはカツ丼の大盛りを、  トナカイさんは生姜焼き定食の大盛りを、  ガッツリ食べていきました。  暖房の効いた店内が、ちょっと暑かったのでしょうか、  トナカイさんは途中から、上半身だけ毛皮を脱いで、  ただのおっちゃんになっていました(これは子供達には内緒ですよ)。  私が空になった食器を下げに行くと、サンタさんが大きな袋の中から何かを取り出しました。  もしかしたら、私もプレゼントを貰えるのでしょうか?  サンタさんのひび割れた手に握られていたのは、長靴型の容器に入ったお菓子でした。  ガムにキャンディにチョコレート。  こんなにたくさん貰えたら、子供達はきっと大喜びです。
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