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それは、今からもう十年以上も前、
私が街の食堂で働いていた時の話です。
12月25日、吐く息が霧のように白くなる、寒い寒い朝でした。
お店を開けるとすぐに、サンタのおじさんがトナカイさんをひきつれて、やってきたのです。
ちょっと疲れた顔のサンタさんとトナカイさん、
夜通し子供達にプレゼントを配って回り、お腹が空いていたのでしょう。
サンタさんはカツ丼の大盛りを、
トナカイさんは生姜焼き定食の大盛りを、
ガッツリ食べていきました。
暖房の効いた店内が、ちょっと暑かったのでしょうか、
トナカイさんは途中から、上半身だけ毛皮を脱いで、
ただのおっちゃんになっていました(これは子供達には内緒ですよ)。
私が空になった食器を下げに行くと、サンタさんが大きな袋の中から何かを取り出しました。
もしかしたら、私もプレゼントを貰えるのでしょうか?
サンタさんのひび割れた手に握られていたのは、長靴型の容器に入ったお菓子でした。
ガムにキャンディにチョコレート。
こんなにたくさん貰えたら、子供達はきっと大喜びです。
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