第一話【親友と同じ女を好きになった話】

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 M子さんが独りだけの総務部に入ってきたのは、私が入社して3年目くらいの頃だったと思う(小さな会社だから、社長とM子さん以外は全員SEもしくはプログラマーだった)。  彼女は小柄で色白、バツイチでその年三十路の大台に乗るという年増ではあったが、なかなかの美人で性格も穏やかだったので、たちまち人気者になった。  基本的に世話好きな人で、二十代前半の若い社員が多い中にあって優しいお姉さん的な存在だったから皆に慕われたのだろう。  しかしながら、オフィスというのは面白い場所である。  こうなると逆に社内に不穏な空気が流れだすのだ(笑)  つまり、若手男子社員達によるM子さん争奪戦が始まったのである。
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