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エレベーターを降りてエントランスへ。
ふと受付の方に目をやると、あの受付嬢の女性が辺りを気にしつつ、おいでおいでと手招きをしている。
キョロキョロと辺りを見回して、私を呼んでいるのだと確認し、受付まで小走りで向かう。
「あの……何か?」
「面接試験、どうだったかなぁって気になっちゃって……。あなた、沢村理仁くんの双子の妹さんでしょ?」
「…………え?」
何で知ってるの?っていうより、理仁の知り合い?
なんて事を考えてたら顔に確りと出ていたみたいで
「理仁くんの友達なの、あたし。理仁くんから電話があってね、貴女が此処を受けるって聞いたのよ」
ニッコリ笑ってそう言った。
「でも、私が理仁の妹だってよくわかりましたね?こんなに顔も似ていないのに……」
「それはね……あ、そうだ!!今日の夜、空いてる?」
「特に予定はないですけど……」
最近は就活で忙しかったので友達と遊ぶこともなく、試験が終わればその日はまるっと予定がない。
しかも、ここでの試験が終われば次の就職試験は一週間後だから、暇だと言えば暇だ。
「そう……じゃあ、良かったら一緒に飲まない?そこで今の話を教えてあげるから」
あんまり知らない人とは飲みにくいなぁ……。
だけど、理仁の友達なら無下には出来ないし、別に断る理由もないしなぁ……。
「いいですよ。何処で待ち合わせますか?」
「じゃあ、連絡先これに書いてくれる?仕事が終わったら連絡するから」
紙とペンを手渡される。
それに、携帯番号とメアドを書いたところで
「へぇ、若いのに綺麗な字を書くんだね」
後ろから声が聞こえたので驚いて振り向いた。
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