偶然の出逢い~依都side~

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赤外線通信で番号を交換したあと、私達は店を出る。 会計の時に別々に支払おうとした私と、此処は奢るからという藤崎さん。 お互いがなかなか退かなくて、店員さんも困り果て、更には後ろに並んでいた会計待ちのお客さんに白い目で見られる羽目になった。 すみません……と私が謝っている内に藤崎さんが会計を済ませてしまった。 「これ、私の分です」 とココアの代金を渡すが 「だーかーらー、此処は俺が払うって言ったでしょ?」 藤崎さんはどうしても受け取ってくれない。 「でも、見ず知らずの人にご馳走になるわけにはいきません」 「はぁ……融通の利かない子だね。だったら今日は貸しって事で、今度お茶でもご馳走してくれる?」 そう言われてしまい、これ以上は相手にも失礼だと 「わかりました。今日はごちそうになります」 不本意ながらも、奢って貰うことにした。 「じゃあ、休みの前の日に連絡するから!!それと、今日の夜また会おうね」 「はい、それではまた」 そう言って会社に向かう藤崎さんを見て、私も帰路を急いだ。
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