なにもない。

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Flashback クラス一緒だね! よかった~ あの人格好いい!! えー!誰も同じクラス居ない!! おい、また同クラだぜ。 小学生からの呪いか… ウケるw おーい、1ーA集まれ!! 浮き足だってクラス分けを見る 生徒達。前半の女子のような会話も、含めれば共学に思うだろう。 しかし、ここは‘’男子校‘’である。 私立の男子校に、につかわしくない華やかさが広場から溢れていた。 そんな中、一人だけ、 ぽつん、と立ち尽くす生徒が居た。 春も麗ら。 美しい木漏れ日を一身に浴びて その生徒は新入生達に向かい 微笑んでいた。 「ようこそ…」 小さな声でそう、生徒は言った。 「あっ、あの」 くるり、と後ろを向けば。 可愛らしい少年が其処に居た。 もじもじ、と恥ずかしがりながら その生徒に話しかけたのだ。 「何?」 「おっ御名前を教えて頂けると…その、嬉しいです!!」 その生徒は少年をじ…と見つめて 笑った。 「あぁ、いいよ。うん。‘’有篠‘’、 ‘’有篠 憂季‘’です。よろしく、千野くん。」 「え‥どうして名前を?」 その生徒は怪しげに微笑んで 指で少年の胸元を弾いた。 ぺこんっ と音が鳴る。 そこには、新入生の名札が飾られていた。プラスチック製である。 「この名札のおかげ。」 少年は顔を赤くして逃げていった 少年が踏み散らかした櫻の花弁は無惨にも茶色く汚れていた。 春も麗ら。 呟いた言葉は果敢なげに。 咲いても、意味がないようだ。 「諸行無常の響きあり。」
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