気紛れ

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「 アドバイスありがとーございますセンセ。」 保健室の悪魔はくしゃっと髪を 撫でて苦く笑った。 「有篠君の噂は結構、知ってるよ?有名じゃないか。」 「思い違いですよ。」 「そーかなぁ?別にいいんだけどさ。でも、1年の頃は優等生だった筈なんだけどなぁ?」 と、探るようにニタニタと笑う。 俺はニッコリと笑って言った。 「優等生に飽きたんですよ。」 「まぁ、優等生だろーが素行が悪かろーがどうでもいいんだけど」 絶句。 仮にも教師がそんなこと言っていいものか。 「どーでもいいけど、今のキミは相当ネコを被ってるにゃ?」 「にゃ、ってなんですかにゃ、って…それを言うなら優等生の方がネコ被ってる。」 「いいや、キミは丸くなった。フリをしてるよ。優等生の頃よりタチが悪い演技だよ。ねー?」 この人は、知っている。 俺が知らない俺のことも。
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