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気まずい空気が流れた後、俺は
微笑んだ。
「タチが悪いなんて酷っ」
保健室では考え事どころじゃない。むしろ、心を引っ掻き回されそうだ。
「ごめんねー、職業柄だよ」
保険医にそんな癖はないだろう。
どんなヤブ医者だよ。
「では、失礼しました。」
と、無感情に言って俺は自室へと向かった。
「ほんと、厄介な人だ。」
キイィ
俺の部屋はいつも散らかっている。否、私物でだが。
お気に入りのCD。
お気に入りの雑誌・小説。
お気に入りの紅茶。
お気に入りの縫いぐるみ。
お気に入りのノートパソコン。
お気に入りのヘッドホン。
つまり、お気に入りのものしか愛せないんだ、と豪語している。
散乱した紙を無造作に片付けて、ベットに倒れる。
スマホから慣れた番号を掛ける。
プルルルル
『もしもし。』
『マイクテストマイクテスト!!』
『・・・・。』
陽気な声にイラッとした俺はただ、黙る。
『仕事だ阿呆野郎』
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