気紛れ

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無駄に広い校舎をこれ程 憎んだことはないだろう。 ミーティングはとっくに始まっている。廊下は静まりかえっていた 「有篠くん、久し振り」 後ろから爽やかな声。 嫌々振り向くと、イケメン。 爆発してしまえ、と思った奴は仲間だと思う。 「三笠さん…」 「有篠くんは、放課後暇かな?」 三笠さんの容姿を言うなれば、 『儚げな王子』 だろう。 黒髪を短く揃えていて、 手足はすらり、としているのに 程よく筋肉がついている。 悔しいくらいイケメンだ。 ほんと、爆発しr 「どうしたんですか?」 三笠さんは困ったように言った。 困ってるのは俺です。 「会長親衛隊が会長のお気に入りの子に制裁を下そうとしているみたいなんだ」 「だから、始業式は静かだったんですね」 三笠さんは矢継ぎ早に言った。 「そこで、親衛隊と交流がある有篠くんに解決欲しいんだ。お気に入りの子が制裁されないように」 三笠さんは優しい人だ。 そして、何よりも俺はこの人に 借りがあるのだった。 でも、何故三笠さんが制裁を 気にするのだろうか。 しかも、断ることは出来なさそうだ。断ったら三笠さんの親衛隊に 何をされるか… 俺は、人助けよりもそんなことを考えていた。ていうか、人助けってあんまり好きじゃないんだよなぁ 「…駄目かな?」 三笠さんは恩人 「放課後に話し合いましょう。」 「ありがとう。じゃ、放課後ね」 そう言って三笠さんはスキップで帰っていった。 「ロスタイム10分…」 溜め息は深くなる一方だった。
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