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全力で図書室まで走りながら呟く。
「本当、運動は大嫌いだ」
結果、
般若のような形相の委員達は俺を深く睨み付けながら会議を始め、
「以上で、有篠君のせいでミーティングまで遅れてしまった図書委員会ミーティングを終わります」
というにこやかな笑顔で締め括られた。
委員長は悪魔だ、とそういえば、巧に聞いたなぁなんて思いながら俺は、本日何回目かの溜め息を吐いた。
「よし、ちゃっちゃと終わらそうか」
図書室からなんとか抜け出し、三笠さんとの待ち合わせ場所に早足で向かった。
場所は、理科室だ。
ガラッ
漂う独特の匂いに顔をしかめれば、三笠さんは机に腰を掛け、子どもの様に足をぶらぶらさせていた。
「あ、有篠くん」
「三笠さん」
「ん?」
「先程の頼みですが、会長のお気に入りは守れません。そして、必ずしも制裁はおきます。それほど、会長は放置していますから」
本当のことだ。
親衛隊を動かす力も何も、俺は持ち合わせていない。
「ふーん、そうか…」
三笠さんは一瞬悲しい顔をして、微笑んだ。胸が痛くなる。
「その、会長のお気に入り、
会長の恋人が…」
にっこり、という形容はこの場合違うと言えるだろう。
「会長の恋人が私でも、守れない?有篠君」
頭が真っ白になった。
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