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「…三笠さんが会長の恋人?」
「とりあえず、ね」
黒髪がさらり、と揺れる。儚い、とはこういうものだろうか?
俺は笑って言った。
「三笠さんなら、親衛隊は解決出来ますよ。会長が下手さえしなければ…ね?」
「本当かい?」
不安げに三笠さんは尋ねた。
何が不安なのか、と思うかもしれないが、三笠さんはいうなれば‘’御坊っちゃま‘’だ。今まで人から迫害されたり、酷い扱いを受けたことはほぼ無いのだ。
「はい、でも何かする時は報告をお願いします」
「分かった」
机か、ひょい、っと降りて
三笠さんは嬉しそうに笑った。
「あ、ありがとう! 次は甘いもの奢るよ。じゃあね、有篠君」
ガラッ
し…ん
静まり返った理科室で、俺は深く溜め息をついた。
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