526人が本棚に入れています
本棚に追加
有篠side
ガチャ
薄暗い廊下から部屋に入ると、
いつも通り、散らかった部屋がそこにあった。
時間はまだ夕方。
では、何故、俺が居るのかというと、体調不良を理由に早退してきたからである。
ため息をついて、ぼふん、とベットに身体を投げればいつも通りの眠気が俺を襲う。
それにしても、
キス。
謎の人物。
恋人関係の暴露。
そして、三笠さんの激昂した顔。
「駄目だ、気になる。」
スマホを取りだして馴れた番号をかける。
prrrr
『はいはーい!何でも屋兼情報屋の夜人たんだよ~?どしたの?』
いつもと同じようにテンションMAXな夜人にイライラしながら言う
『うざい、死ね。』
『ひどっ!で、要件は?』
『……。今日三笠さんが激昂した理由と、あとあの不快音を出してた、、、あ、キスされてたヤツのことを調べろ。』
『やっぱりー?いいよ♪そのかわりまた二倍だからね?』
大方検討はついているのだろう。
夜人のにへら、とした笑みが見えるようだった。
『二倍ね…。』
『そ♪二倍。じゃっ☆』
ツーッツーッツー
一方的だ。
無機質な電子音が鼓膜を震わせた。切られたんだろう。
「あんにゃろういつになったら人の話を聞くんだよ。」
でも、夜人に任せておけば粗方、情報はわかるだろう。
それくらいアイツは出来る。
で、問題は。
「巧だよなぁ。」
呟きは夕暮れに拡散して消えた。
sideout
最初のコメントを投稿しよう!