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その後も、俺は朝方までずっと起きていた。というよりは、寝られなかっただけなのだけれど。
鳴り出したスマホを取った。
『憂季』
昨日の内に調べたんだろう。けれど、夜人の声は暗い。しかも、いつも通りのお気楽さがない。深刻な顔が浮かぶほどだ。
すると、
『今から言う事に、動揺しないでくれ。お願いだから』
と情けない声で懇願された。それが物珍しくて俺は裏返った声で聞いた。
『で、アイツの目的は?』
寝起きで掠れた声を振り絞った。
嗚呼、嫌な感じだ。
『日向 さんに復讐すること…』
心臓をぎゅっと掴まれたような寒気がした。握りしめた手が痛い。
寒い。
『そう…ありがと…報酬は倍にしておくよ…じゃ授業あるから…』
と、一方的に電話を切った。
自然に口が弧を描く。
溢れだした笑みを押し込めて俺はリュックを背負って、俺は廊下へと進んだ。
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